top of page

「地域包括ケア」掲げられた理想と 光と影

更新日:5 日前




慌ただしかった夏が過ぎていきました。

いろいろな経験を通して、なかなか記事を書くことができずにいた日々。ようやく秋になり、静かな気持ちで、言葉を紡ぐ準備が整いました。

「あの家族に、本人があの状態で、家で介護ができるわけないじゃないですか」

いったい誰の発言なのか。どこに住んでいるのか。どんな病気なのか。どんな家族がいるのか。

そんなことは、問題ではない。

ただ、彼らは「家で暮らしたかった」。——開院して1年、これが私たちの現実です。


「地域包括ケア」は、どこまで実現できているのか。

在宅医療に携わっていると、「地域で人を看る」ことの大切さが語られます。セミナーや意見交換会が開かれ、さまざまな職種の中で知識が共有される。

けれど、「地域を育てる」とは、実際には何から始めたらいいのか?私たちは、本当に地域を育てるような仕事ができていたのか?

正直、この点については、分からないことの方が多かった。

しかし、この夏、確信に至ったことがあります。


地域包括ケアを実現するために、必要なこと。

「1人1人を全力で大切に看る」

「自分たちに何ができるか、限界まで考え抜く」

「他者との相互理解に壁を感じても、冷静に大切なことを考え続ける」


「1人1人を全力で大切に看る」

個々の世帯が抱える苦痛や課題はさまざま。それぞれ異なる価値観のもとに、希望を持って暮らしている。

その「暮らし」そのものを尊重し、一辺倒ではない関わりをすること。

彼らの願いを叶えるために、在宅医療チームは同じ目的を共有する。それが気づきとなり、経験値となり、やがて地域全体の支えとなる。


「自分たちに何ができるか、限界まで考え抜く」

患者さんや家族の人生の選択肢を、より多様にするために。

スタッフが「無理だ」と判断すれば、患者さんや家族はそれを選択することすらできない。

だからこそ、限界に挑戦する。

その挑戦が、新しい実績を生み、非常識だったことを常識へと変えていく。そして、地域の資源のキャパシティを広げる可能性を生む。


「他者との相互理解に壁を感じても、冷静に大切なことを考え続ける」

事業所ごとのカラーや、運営方針にギャップを感じることは、少なくない。地域包括ケアの難しさは、まさにここにある。

一番大切なのは、個々の職種と患者さんとのつながり。

その人のために「今、何ができるのか」を、冷静に考え、伝え合うこと。

感情を交えずに、最善のケアを提言し合うこと。それが、地域医療における「本当の連携」なのではないか。


「地域を看る」とは、「1人1人を大切にする」ことの積み重ね。

1人1人に暮らしがあり、毎日がある。

どんな病気や障害があろうとも、私たちに忙しい日常があるように、彼らにも、かけがえのない生活がある。

その「棲家」を、まるで自分とは関係ないもののように否定したり、決めつけたりすることはできない。

いつか、その言葉の重みが伝わるような仕事をしていきたい。


地域を育てるために、今目の前にいる人を大切にする。

「地域包括ケアの名のもとに、我々に何ができるのか。」

それを問い続けることが、私たちの使命なのかもしれない。

開院して1年。ここからもまた、日々、地域を育てる。

この街で暮らすすべての人の、前向きな「生」に向けた挑戦。私たちは、常に受けて立つ。

一つ一つの仕事を通して、恐れることなく進み続ける。

また、この街のどこかで、隣町のどこかで、笑顔でお会いしましょう。

                 



よだか診療所                         前角衣美

Comments


YODAKA  CLINIC Home Care
​開院時間   月 火 水 木 金 土 日
9:00-12:00  ○ ○ ○ ○ ○ ☓ ☓
14:00-17:00  ○ ○ ○ ○ ○ ☓ ☓
米子市の在宅医療・緩和ケア
​よだか診療所


〒683-0064   鳥取県米子市道笑町1丁目111番地
​             米子専門大店ビル1F
FAX : 0859-33-1115

※お越しの際は万能町市営駐車場をご利用ください。

サービス券をお渡しします

  • Instagram
  • Facebook

Copyright © Yodaka clinic. All right reserved.

bottom of page