愉しいわけないことを楽しくする その奇妙さ。奥深さ。
末期がんの方たちに、自宅で最後まで過ごすという選択肢が はっきりと示されつつある昨今。
在宅医に課された宿題は数え切れません。
例えば、取り切れない苦痛、長引く発熱、下がったままの血圧、 出血の恐怖。
どうしてでしょう、もう先は長くないと分かっていて、 いつかお別れの時が来るという現実を、 受け止めたうえで一緒に過ごしているのに。
何度も何度も聞いた話が重たくて、受け止めきれなくて、 涙が止まらないのが当たり前でしょう。
いざという時にすべて気持ちを整えて、備えるなんてこと、 出来るわけないでしょう。
だから我々は狂ったみたいに全力を尽くさないといけない。 「充分だった」なんてことは決してないって思わなくっちゃいけない。 それくらい医療者にとって、過酷なケアなんだ、 という見方もできるんじゃないかな。
だから患者さんも家族さんも、私たちも、愉しみが見つけられないとだめ。 食事とかお風呂とか、音楽とかマッサージとか、団らんとか。
思い出を残してもらう大事な時間なのだから。 クスッと笑えるような穏やかさが必要。 できれば溢れんばかりの愛があってほしい。
大切な人を喪う、その最後の時に、花も実もあって穏やかであってほしい。
この難問にみんなで立ち向かえば、答えは自然と見えてくる。 だからこの仕事は楽しい。 不謹慎かもしれませんが、私たちは踊るように仕事する。
よかったらあなたも、飛び込んでみませんか。
