もっと早く退院できるはず?鳥取県米子市の在宅医療と病院の現状
- 米子の在宅医療・緩和ケア よだか診療所
- 3月16日
- 読了時間: 4分
更新日:3月26日

「もう退院できますよ」と言われたのに、なぜ帰れない?
「そろそろ退院できますよ」と医師に言われ、ようやく回復の兆しが見えてきた。
でも——「本当に家で大丈夫なのか?」「介護が大変にならない?」「急に具合が悪くなったらどうしよう?」
そんな本人ご家族の不安から、退院をためらう人が少なくありません。
容態そのものは回復しているのに、退院がスムーズに進まない。
この問題は、鳥取県米子市でもよく見られます。その背景には、
✅ 退院後の生活に対する家族の不安が大きい
✅ 在宅での受け入れ態勢が整っていない
✅ 在宅医療や訪問看護の啓発普及が実は十分ではない
といった課題があります。
なぜ早期の在宅復帰が難しいのか? そして、どうすればスムーズに退院し、自宅で安心して過ごせるのか?
本記事では、実際に直面する課題とその解決策を考えていきます。
退院が遅れる理由とは?
1. 在宅医療が知られていない
「訪問診療や訪問看護があれば、自宅でも医療ケアが受けられますよ」
そう言われても、多くの人がピンとこないのが現実です。
在宅医療は、じつはまだまだ可能性を秘めている医療で、病棟や外来だけではなく、第3のケアや治療の場所として、
住まいに医療を提供するために大事な役割を占めています。
本当はより沢山の患者さんに提供させて頂く必要があるのに、十分に認知されておらず、
「退院したらあとは自分たちで何とかしなければならない」と思い込んでいる人も多いのです。
もし、入院前から在宅医療チームが関わっていたらどうでしょう?
✅ 医療者同士のスムーズな情報共有
✅ 退院後の生活の具体的なシミュレーション
✅ 事前にサポート体制を整えることの安心
これが実現できれば、退院後も安心して生活できるはずです。
2. 在宅医療の受け入れ態勢が不十分
米子市では、訪問診療を行う医療機関が増えてきています。
しかし、
❌ 24時間対応できる機関はまだ少ない
❌ 緩和ケアやプライマリケアに精通した医師の数が限られている
そのため、通院が難しい患者さんにとっては、十分な選択肢がないのが現状です。
「家で療養したいけど、容体悪化時に対応できる医療機関がない」
こうした不安が、在宅復帰をためらわせる大きな要因になっています。
3. 介護サービスの調整が遅れる
「訪問介護やリハビリをすぐに受けられますよ」
そう言われても、実際には手続きが遅れ、必要なサービスが退院直後に間に合わないケースが多々あります。
その原因のひとつが、病院と市中介護職との連携不足。
病院で治療に専念している間に、退院後の介護サービスがスムーズに利用できるよう手配しておけば、
✅ 退院してすぐに介護やリハビリがスタート
✅ 家族の負担や不安も軽減
✅ 患者さんの容体悪化再発や 再入院リスクを多職種チームで減らせる
こんなふうに、スムーズな移行が可能になります。
「本当は家に帰りたい」— 在宅医療の可能性
退院前から在宅医療チームが関わることで、安心して家に帰れる道が開けます。
✅ 例えば 病室に在宅医や訪問看護師とがお邪魔して 面談や情報提供を直接ご案内する
✅ 実際の生活をシミュレーションし、病院と一緒になって自宅での必要な医療・介護支援を確認する
✅ 今後の療養のために様々な意見交換を行い 事前に本人家族と共有し、不安を軽減
家族に対する情報提供は、何より欠かせません。
「訪問診療や訪問看護でどこまで対応できるのか?」
「もし急に具合が悪くなったら、どうすればいいのか?」
こうした具体的な話を共有し、必要に応じて介護スキルを学ぶ機会を作ることで、不安を解消できます。
さらに、自治体や地域包括支援センターと連携し、介護保険サービスの手続きを早めに進めることも重要です。
そのために「退院前カンファレンス」という非常に大事な情報共有の場が設けられることを推奨していきたいと思います。
その一歩手前で、在宅サービスの可能性をご案内するための、各職種による面談が叶えばなおよいのではと考えています。
まとめ
✅️ 退院をスムーズにするために必要なこと
🔹 まず地域の医療介護資源について 正確に詳細に知ってもらう
🔹 医療・介護スタッフが連携し、退院前から具体的なケアプランを立てる
🔹 家族への情報提供を徹底し、実際の生活をシミュレーションする
🔹 介護サービスの手続きを早め、退院後すぐに支援が受けられるようにする
一度チームがしっかり形作られると、患者さんの状態が変化しても柔軟に対応でき、希望に沿った支援が可能になります。
何より大切なのは、患者さんやご家族が「家に帰ってよかった」と心から思えること。
鳥取県米子市でも、医療機関・行政・地域の福祉団体が連携し、安心して在宅療養ができる環境を整えていくことが求められています。
「家に帰りたい。でも不安……」
そんな思いをなくし、「家でも大丈夫」と自信を持てる社会を、一緒に作っていきましょう!
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