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喉元に上がってこないと熱くない 意思決定支援の話



今以上に悪くなることなんか考えたくもないけれど…



年明け早々、診療に追われていました。 ところで私たちは、 今以上に悪くなることなんか、すぐさま想像できるでしょうか。 現状に不満や不安があればなおさら。 困ったことは先延ばしにしたいもの、

これが在宅医療の現場だと、どうでしょうか。 たとえば難病の方の、胃瘻や気管切開のお話。 「今はまだ食べられるからなぁ…」 「その時になってみないと、わからないわ…」 患者さんや家族さんは分からないことだらけ。 「そりゃそうですよ。」


もし楽しく食べられる時間を長く持ちたいなら、 体力を保って過ごしたいのなら、

栄養はとても大切です。

口から摂っている食事の量が、体格に見合わなくなっているのならば、 施術の考え時と考えても早すぎたりしないのです。

足りない栄養を人工的に補充することは、 自分の生命力を保つことに繋がります。 一方で本人の意思はとても重く、体を傷つける負担の中で 人生の終わり方まで考えなければならない人にもご説明が必要です。

迷う時間はとても重要で、ゆっくりとした時間の流れの中で 思いを確認していくことが大切。

「愉しく生きる」ために手術に踏み切るのか、踏み切らないのか。 その答えは一人一人大きく異なるものです。 だから早めに提示する。もちろん二者択一を「どっちですか?」と聞くのではなくて、 大切にしている支えや私たちの知らない人となりを拾い集めながら、 未来に思いを馳せて見つけていく。

自分の人生を自分で決められる瞬間がある。

それを手伝うことができる人がいる。

喉元を通り過ぎる熱さに耐える勇気を引き出すことが我々の仕事です。 見る前に飛べと言った作家がいましたが、 希望をもって前にジャンプすることができたら、私もうれしく思います。




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