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生き心地はどうだ




「生きにくい世の中になった」とよく聞く時代になりました。

7月23日に明るみになった刑事事件について、 日本緩和医療学会が声明文を発表しました。


【緩和ケアは(中略)QOLを、痛みをはじめとする身体的な苦痛、心理社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛などを予防し和らげることを通して向上させるアプローチです】



「耐えがたい痛み」に苛まれ続けるとき、 人は生きる希望を失ってしまうから。 その痛みが何であるか――体の痛み、治せない病の辛さ、 社会で認めてもらえていないのではないかという、心の悩み。 大切な人を喪った悲しみ。



身体が健康な人からそうでない人まで、 人の痛みは様々です。 しかしそれは個々に沿って重大な問題であることに、 目を向けなければなりません。 「私は辛いけど貴方辛くないでしょ」なんてことはあり得ないのです。



我々は医療者として、個々のご家庭の中に深く関わっていくことになります。 患者さんのみならず、看てくださったり心配して下さっている家族の方の 痛みにまで、向き合い続ける姿勢を示すことが必要です。



一方で、辛さがないだけでは我々は生きていけません。 生きていくためには誰しもに、希望が必要だからです。 それは私たち自身が感じ、定めるものであり、 誰かに強要されるものではありません。



「死に直面する病を抱えた患者」にとって緩和ケアが必須であると言います。 だとすれば、生きていく辛さ、喜びを我々はもっと 交歓し合うべきではないでしょうか。 あなたにとって辛いこととは。希望とは。 知ることで尊重できる、大切にしていける。 語り合い始めた時点で、癒しは叶いつつあるのかもしれません。



それを医療現場では「ACP」だとか「BSC」と呼んでいるのです。 「BSC」なんてすごいですよね。ベストのBですからね。



我々は常に全てのケースに最善を尽くさなければならない。 在宅医療におけるベスト。決して「DNAR」が全てなのではありません。 全ては「生きる」ことから始まる。今日も生きる。明日も生きる。




みんなが微笑みを絶やさずにいられる社会がいいですね。





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