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DとNとAとR——人生の最終段階、その前に

  • 執筆者の写真: 米子の在宅医療・緩和ケア よだか診療所
    米子の在宅医療・緩和ケア よだか診療所
  • 2019年12月15日
  • 読了時間: 2分

更新日:3月8日


開業から1か月、在宅医療の現場で感じること

開業して1か月、更新が遅くなってしまいました。日々、さまざまな経験をさせていただきながら、在宅医療に従事しています。


そんな中、紹介状の末尾に記される言葉を目にすることが増えました。

「急変時DNARに承諾を得ています」

Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)——「蘇生拒否」


DNARとは?その意味と重さ

私の病気は、もう手の施しようがなくなってしまいました。治せない病気で私の具合が悪くなったら——

呼吸が止まってしまったら

血圧が保てなくなってしまったら

その時はどうか、いたずらな心肺蘇生を行わないでください。

言葉にしてみると、とても重い。でも、医療の現場ではこの言葉が当たり前のように飛び交っています。


もし自分がDNARを選ぶ時が来たら

「自分がいつか、この決断をしなければならない時が来たら——」

それは、きっと誰しもに訪れる瞬間。その時、自分はどんな生活を送っているのだろうか?

在宅医療の現場で、DNARを選んだ患者さんの日常を覗いてみると、そこには私たちと変わらない暮らしが広がっています。

「いつ死んでもいいわ」と言いながら、インフルエンザワクチンを打つ。

好きなお菓子を食べ、昼寝をし、ワイドショーを眺める。

「好き勝手に生きた結果、周りに迷惑をかけながら歳をとる。」

辛い状況でも、なぜか笑いが生まれる。誰かがそばで涙を流してくれる。いろんな生き方があるけれど、最後に求めるものは皆、きっと同じ。


最期の瞬間、望むこと

もし最期の瞬間が訪れたなら——

救急車も病院も要らない。

ただ、静かに退場したい。

苦しい時は、その辛さだけ取ってほしい。

これは、決して特別な願いではなく、多くの人が共通して持つ思いではないでしょうか。


DNARは「死を選ぶ」ことではない。「よりよく生きる」ための選択肢。

DNARは、ただ「延命をしない」という消極的な決断ではなく、「よりよく生きて、好きなだけ家で過ごし、自由な時間を過ごす」ためのパスポートのようなもの。

その選択が、治しがたい病を抱えた方が少しでも呑気にいられることにつながるなら、私はそういう医療を手掛けたい。


救急外来で響いていた言葉が、今、静かに胸に迫る。

かつて、せわしない救急外来で何度も耳にしたこの言葉——

「DNARの確認は?」

一刻を争う救急医療の現場で、それは「次にとるべき行動を決める」ための単なる確認事項だったのかもしれない。

でも今、在宅医療の現場でこの言葉に向き合うと、その一言が、患者さんの生き方そのものを映し出しているように感じる。


 
 
 

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