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在宅医療の現場から考える一人暮らし高齢者

  • 執筆者の写真: よだか診療所
    よだか診療所
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分
夕暮れの住宅街の坂道

昨年の秋、市の長寿社会課さんが、地域に増えた高齢者の一人暮らし・高齢二人暮らしの世帯の方たちのために、良いガイドブックを作って下さいました。


みなさんが抱えている衣・食・住、医療と介護、冠婚葬祭に関する悩み。

それらをみなさんが読みやすく分かりやすい字の大きさや配置、文字数でまとめて頂いています。とてもよい仕上がりだと思いました。


私たちも、在宅医療の中で、お一人きりで暮らす、お二人だけで暮らす、高齢者の診療を任せて頂くことが、少なくありません。


老いや病を抱えながら毎日を送ることの、難しさや苦労は、計り知れません。

あるいは一方で、そこに暮らす喜びや今後への思いなども、その胸のうちを敢えてお伺いしなければ、見えてきません。



みなさん様々な思いを抱えておられます。

悩むこと、悩んでいたことそのものを忘れてしまうこと。



きちんとやりたいのに思考がぐちゃぐちゃになってしまったり、体が思うようにいかなくなったり。そんな中で誰かの手を借りようと思い立って下さったことに、頭が下がります。



老いても人生が続いていくとしたら。



誰かの目と手を借りるために、住まいをどうするのか、集合住宅にいつ、どのように入るのか。

あるいは入らないでいられる、なんてことが、あるのでしょうか。


生活の選択肢について、よくお尋ね頂くことがありますが、私は「街に出て色々調べてみましょうか」と今は思っています。


逆に、私は行政や福祉の方に、お伺いしたいのです。

今後高齢化がますます進むこの街で、私たちはどのように老いて、どのように人生を全うすることができるでしょうか。

私たちには、どんな選択肢があるのでしょうか。


医療は必死で傍らに立ちます。今年はみなさんの栄養状態を諦めず見極め、積極的に体力を維持するための栄養の手立てについて、もっと考えて行こうと思い立ちました。


自分の脚で立つ、手で食べる。そうでなくても、食べさせてもらってしっかり噛んで飲み込むことにおいて、日々の栄養を見直し筋肉のやせを防ぐことがとても重要な治療だからです。


しかしそうは言っても、経年変化の中でいつか、誰かの手を借りなければ生きていくことが出来なくなる日が、来てしまうことをどうしようもないかもしれません。

転倒や骨折をきっかけに、介護が必要になることもあります。


そんな時私たちが独りであるとしたら、どんな選択肢があるのでしょうか。

もうこれからは、立場や職種を超えて、みんなでこの街の選択肢を増やす時期に来ていると思います。


誰かだけの利益や、都合なんかにとらわれず、みんなが一緒に安心して年を取って行けるように、医療は、介護は、行政は、そして自分たち個人は、どこに舵を切って行けばいいのかを、誰か一人の悩みにせずに、みんなで考える時代がやってきたのです。


認知症になったら、歩けなくなったら。

がんになったら、難病になったら―……。


それでも望んだ場所で生活を続けるために、私たちに今から何が出来るのかな。

そんな視点がもっと地域に増えれば、願いをもっともっと諦めない意思決定支援がきっと叶います。


患者さん1人1人の願いに医療者は聞き耳を傾けますが、その選択肢を提供するのは、決して医療者だけではありません。


社会の仕組み、街の在り方、皆さんの考え方。それらに着目しながら「私たちの住む町のこと」を、みんなで一緒に俯瞰し、考えることができれば、私たちの老後は明るいのではないでしょうか。


独りぼっちでも、病んでいても、老いていても、そして歩けなくても、

自分の好きな居場所で、安心して生きていける町。そんな街に住みたくはありませんか。

いつかどこかでみんなで話し合いませんか。



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