在宅医療はまだ早い?
- 2月27日
- 読了時間: 5分

「在宅医療(訪問診療)はまだ早い?」と思っている間に、体調が崩れて入院となり、在宅の準備が追いつかなくなることがあります。
元気が残っているうちに、連絡体制や“何が起きたら連絡か”の線引き、薬や住環境を小さく整えておく——その大切さを書きました。
東風吹かば 匂いおこせよ梅の花 主なしとて 春を忘るな
寒い冬が終わろうとしており 日当たりのいいお宅の庭で 梅の花の季節がやってきました。
さきたての花はかわいらしく匂いも格別です。
ほんの少し窓を開けただけで ふっと匂いが入ってくる。そういう日が増えてきました。
この季節 春の喜びをお家で感じることが出来ることへの憧れは 1000年前も今も変わりません。
どんな状況にあっても いつまでも今の居場所で過ごしたい。
きっと地域の皆さんの同じ願いだと思います。
⸻
今日いちばん言いたいこと
「世話になるのは段取りが面倒」「通院よりお金もかかる」「まだ早い」
在宅医療の話をすると よくそう言われます。
その気持ちは とてもよく分かります。
ただ 「まだ早い」 が続いているうちに
身体の調子のほうが 間に合わなくなることが意外と多いのです。
⸻
「まだ早い」の間に起きがちなこと
何か病を抱えながら生活されている方、特に進行しやすい病状の方は、
そう言っているうちに 体調が崩れて入院せざるを得なくなってしまうことがある。
そうなると今度は 病院に生活の根っこが生えてしまう。
(病院のリズムに合わせて暮らしが組み替わってしまって
生活能力が心身ともに低下し 今までの生活に戻りたくても戻る準備が追いつかない
ということが起きます。)
ここで言いたいのは 入院が悪い という話ではありません。
必要な入院は もちろんあります。
でも 入院してから ゼロから在宅の準備を始めるのは どうしても慌ただしくなります。
進行した病状や介護度に 一からサービスを整え、関係を作っていくことは必要ですが、
それでは複雑で大掛かり、本人もしんどい、家族もしんどい。
決めること、求められる時間とお金が一気に増えます。
その結果 「もうあきらめましょうか ではこのままで」 となって
気づけば 病院の暮らしが長くなってしまうことがあります。
⸻
家に根っこをはやす準備
だったら もっと早めに自宅の門扉を 我われにくぐらせてもらって
家に根っこをはやすのはどうでしょう。
大きく何かを変える という話ではなくて、
かかりつけ医とはあなたにとって何なのか。医療や自身の健康と、どう向き合って時間を重ねていくか、を立ち止まって考えてみるだけ。
困りごとが大きくなる前に 小さく整えておく というだけのことです。
それが今までずっと 難しいと思われているのは 必要な手立てや工夫が なかなか広まらず、その手間についての煩わしさの方が みなさんのイメージに定着してしまっているからかもしれません。
在宅医療という言葉が 何か大がかりなことを始めるように聞こえる。
手続きや連絡が増えそう。
家族が大変そう。
そういう印象が先に立つ。ここが いちばんの壁になっている気がします。
でも 実際にやることは わりと地味で 生活に沿ったことです。
今お世話になっている先生に、「手紙一つ書いてほしい」と言って頂き、まず悩みを相談して。
「こんにちわ」と言い合って、おうちで、体と生活を診させて頂く。
「いざという時の見通し」 を 少しずつ、焦らず、作っておく。
それだけで あとがずいぶん違います。
⸻
「整える」って 具体的には何をするのか:在宅医療
最初の一歩は だいたいこんなところから始まります。
困った時の連絡を 先に決める
夜間や休日も含めて どこに どの順番で連絡するか。
これが決まるだけで 不安はかなり減ります。
「何が起きたら連絡か」 の線引きを作る
本人も家族も 毎回判断に迷うと疲れます。
一度かかりつけになって頂ければ、いつでも体調の相談に乗ります。
訪問看護さんと連動すれば、自宅で行える治療も沢山あるわけですから、
結果として受診や入院も減りやすくなります。
望まない入院を回避できれば、ずっと自宅で過ごす時間が増えます。
元気でいただけるための工夫を一緒に考える
家の中の動線を見て 転びやすい所を減らす。
寝床とトイレ 段差 照明 手すり。
こういう所は 早めに手を入れるほど 効きます。
薬が増えてきたら 飲み方を整理する
長年愛用してきた常用薬も、見直せば気づかず経験していた副作用による
体調不良を緩和することが出来ます。
ここが整うと 体調も生活も崩れにくくなります。
「一番困りそうなこと」を 一度言葉にする
痛みなのか 息苦しさなのか 食事なのか 眠りなのか。
心と体の辛さについて、一つ一つ、一人一人に答えを必ず一緒に見つけます。
こういうことは 調子が落ちてから慌ててやると 負担が大きい。
でも 元気が残っているうちに 少しだけ手を入れておくと
面倒だったものが 段取りに変わっていきます。
段取りが出来ると 選べる道が増える。
その結果 「入院しかない」 になりにくくなる。
⸻
梅の匂いの季節に
春は 待っていれば来ます。
でも 暮らしの選択肢は 待っているだけだと 細くなることがあるのです。
病院に根っこが生える前に
家に根っこをはやす準備を。
“まだ早い”のうちに できることがあります。
少しずつ、暮らしの段取りが整っていきますように。
きっといい春にしましょう。


