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僕たちは今どこにいるか

  • 4 日前
  • 読了時間: 4分

懐かしい我が家



がんや難病、心不全、そして老衰の医療に必要なのはACPだと、叫ばれて久しくなりました。


しかしその実、難しいことが色々あるのです。

それは「事前に様々な事態を想像し 話し合っておくことの難しさ」です。


「先生から怖い話があるだって やだなぁ」

「そげなこと今言われても分からんし」

「何かあったらその時だわい」


というのが、私たちのナチュラルな声であることはよくあること。


それでもみなさんの「これからも少しでも元気に」「辛くないように」という願いが叶うように、我々に何が出来るか、ずっと考えてきました。

それは少しでも分かりやすい言葉で、私たちの知恵やスキルを皆さんに知ってもらうこと。そこからではないかと、思ったのです。


誰もが住み慣れた自宅でいつまでも暮らしたい。

そのために大切なのは、「今 自分の身体は 命は 医学的にどんな段階にいるの?」ということを、医療者と一緒に考えられているかどうか、だと思っています。


話し合いが大切なのはみなさん分かっている。でも「自分が今どんな段階にいるか」を実感しながら暮らしている方が、この地域にどれだけいらっしゃるか。そこを、私はずっと心配しています。


容態が安定しているように見えても、何かのきっかけで変わることがあります。

感染症や熱で動けなくなったり、食べられなくなったり。急な痛みや息苦しさに途方にくれたり。そういうことが起きやすい段階に、すでにいらっしゃる方がおられます。


「最善を尽くし 最悪に備える」


これが、住み慣れた自宅でずっと過ごすための、いちばんの秘策だと思っています。

備えがないまま困った時を迎えると、「一旦救急車 一旦入院」を選ばざるを得ず、そしてそのまま、おうちが遠のいていってしまうのです。


ACPというのは、難しいものではないと思っています。お家で問題を解決するための話し合い、それがACPです。そしてACPで何より大切にしたいのは、「本人の意思」「本人の気持ち」です。


どうしてそれを、問題視するのでしょう。


きっとそれが、気づいて配慮しなければ叶わない、難しいこと、だからです。

たとえば、外来に通いながら、ご家族と自宅で暮らしている心不全の方がおられるとします。


「心不全が悪くなってしまったら」

「夜中に息が苦しくなったら」

「食べられなくなったら、どうしたいか」


それらの問いにご家族は、「そりゃ入院してお世話になればいい」と思っておられ、本人は「何とかなってるから大丈夫」と思っておられるとして、「何かあったらどうする?」という話を、誰も話題に出したことがなかったら。


ある日、熱が出て食欲がなくなり、ご家族は救急車を呼びました。

入院して、落ち着いたけど、もとのようには歩けず、食べれず、施設に行くことになるかもしれない。あるいは病棟でそのまま、看取りになることもあるかもしれません。


でも実はその方は——



「ずっと家におりたかったなぁ」



とつぶやかれるかもしれません。 その言葉を、事前に聞けていたら。


どんな状況でも、自宅で過ごすことに「いいよ」と言えるのが、おうちに伺う医療者の責務です。 もし選択肢が増えていたら、一緒に別の道を考えられたかもしれない。

「家におりたい」という気持ちは、話してもらわなければ、誰にも届かないのです。


だから少しずつでいいので、気持ちを周りに伝えてほしいのです。

何が必要か、なぜ必要かを、みんなで一緒に考えれば、体調が悪い時に自宅から無理に離れなくてもいいはずです。

そのためにまず、「自分は今どんな立ち位置にいて どんな病状なんだろう?」ということを、一緒に考えてみませんか。


怖くていいんです。

分からなくていいんです。

その「怖いなぁ」という思いも一緒に受け止めながら、まずは気軽にお話ししてみましょう。困ったことがあっても、あなたがあなたらしく生きていける「大丈夫」を、もっとこの地域に増やしていきたいのです。


それが、私たちにできることだと思っています。



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